複数賃率表とは(賃金表の種類)

複数賃率表は、洗い替え方式です。
等級ごとに賃金表があり、毎年1号棒ずつ上がっていきます。
例えば、1等級新入社員の場合
社員Aが1年目D評価200,000円、2年目S評価208,000円
社員Bが1年目A評価203,000円、2年目A評価206,000円
となり、AとBで逆転が発生します。
2年目昇給額は、Aの8000円に対して、Bは3000円です。
これは過去の成績を累積せずにリセットし、単年の人事評価で昇給額が決まるからです。
社員にとっては過去にとらわれず、単年の成績で挽回できるので、心機一転仕事にチャレンジすることができます。
また、累積ではないので、同じ役職で〇年目の社員のS評価は〇〇円、A評価は〇〇円と金額が一致するので、社員の賃金状況が分かりやすくなっています。
一方では、毎年D評価を取り続けていても4000円(※上記賃金表1等級D行参照)ずつ昇給していってしまうため、優秀ではなくても毎年一定額昇給してしまうというデメリットがあります。
仕事をしなくても毎年一定額昇給するため、「働かない」社員に対する働きかけは鈍くなります。
中小企業では、社員のモチベーションを高めることが特に重要であり、D評価の社員でも毎月一定額昇給し安住できてしまう複数賃率表は、あまり向いていないかもしれません。