工事ごとに会計処理するための下準備




 ある程度の規模の会社は、工事ごとに会計処理することをお勧めします。
一定規模のみに限定するなど、事務の効率は必要ですが、多少手間がかかっても、大きな現場は工事ごとに会計処理をしていきましょう。


理由は、「実行予算書」の管理だけでは経費が漏れてしまう可能性がある、利益の把握が曖昧になってしまう可能があるからです。
例えば、公共工事の「履行保証保険料」「建退協証紙購入代」、1憶8000万円以上の工事を受注した際の「有期事業の労働保険料」等は、現場で把握していないことがほとんどかもしれません。
一方で、会計処理はお金の動きを処理するので、漏れることがありません。


下準備
①工事を受注したら、工事番号を取得します。
これは、ほとんどの会社がやっていると思います。

②工事部が請求書の内容を確認する際、請求書に工事番号を記載します。
一つの請求書で、複数の現場の請求書がある場合は、内訳ごとに工事番号を記載します。
※規模の大きな会社では、(会社指定の)請求書を現場単位で提出してもらいます。
そのことで、1現場1枚の請求書となり、仕分けが容易になります。

③会計ソフト上で工事番号を登録し、工事番号に費用を紐づける会計処理をします。
このことで、工事現場が1つの会社のようになり、工事ごとに売上、費用、利益が明確となります。



ちなみに、「弥生会計」等の汎用的なソフトでは工事番号登録ができません。
建設業専門の会計ソフトを準備する必要があります。
手間とコストがかかりますが、工事ごとの最終利益が分からないのは問題です。
技術者が利益向上を意識するためにも、「実行予算書」とは別に、工事ごとに会計処理をし、正確な利益を算出し、その結果を管理者が把握、現場担当者と情報共有する仕組みをお勧めします。