家族手当、住宅手当は残業代の計算の基礎に含めません

残業代の計算は、実は複雑で面倒です。
私が見る範囲では、多くの会社で正しい処理ができていません。
例えば、以下の手当は残業代の計算をするにあたり、「割増賃金の基礎となる賃金」から除外することができます。
家族手当
通勤手当
別居手当
子女教育手当
住宅手当
臨時に支払われた賃金
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
社会保険労務士試験対策では、それぞれの頭文字をとって「勝つべし住宅リーチ1発(家通別子住宅臨―チ1発)」と覚えます。
なので、以下の例では基本給と役職手当の合計額(230,000円)をもとに、割増賃金を計算します。
基本給 200,000
役職手当 30,000
家族手当 13,000※含めない
住宅手当 20,000※含めない
ただ、更に面倒なルールがあります。
家族手当
家族の人数に応じて支給するものはOK
家族の人数に関係なく一律に支給するものはNG
住宅手当
家賃の一定割合、ローン月額の一定割合を支給するものはOK
住宅の形態ごとに一律で支給するものはNG
となっています。
運用する側の手間を一切考えない細かいルールとなっていることに顔をしかめてしまいますが、仕方がありません。育児休業や介護休業制度などは、もっと細かいルールとなっています。
社会保険労務士としては、制度が複雑であるからこそ、ニーズが生まれる現実があります(税理士も同じ理屈が当てはまります)が、一般人では理解できないルール、運用困難なルールで埋め尽くされている制度設計に、複雑な心境に陥らないわけでもありません。