労働条件が実態に合っていない場合の対応

労働条件とは何を指すのでしょうか?
ほとんどの会社が、労働条件を「労働条件通知書」等書面で通知しているかと思います。また、労働条件通知書で示していないことは、就業規則等で定められているものと思います。
労働条件の定義は難しいですが、(原則として)労働条件通知書や就業規則で定められているもの、と言うことができそうです。(労使慣習も労働条件ですが、後日ページを改めて説明いたします。)
労働条件通知書に示されていなくても就業規則が労働条件であるという一例として「年末年始出勤手当」の例があります。
私が以前勤務していた社会福祉協議会では、24時間365日運営している介護老人保健施設を経営していたため、管理部門の職員であっても交代で年末年始に出勤していました。
労働条件通知書に「年末年始出勤手当」の記載はありませんでしたが、就業規則に定めがあったため、当然のように「年末年始出勤手当」の支給を受けていました。
仮に「年末年始出勤手当」が支払われなかった場合はどうでしょうか?私は就業規則に定めがあることを根拠に「年末年始出勤手当」を支払ってくださいと会社に請求することができます。
次に、顧問先での実例をご紹介します。
就業規則で「皆勤手当」「食事手当」が定められているにもかかわらず、社員によって支払ったり支払わなかったりしている事例がありました。
「皆勤手当」「食事手当」が支払われていない社員は、就業規則に定められていることを理由に、各手当を請求できる状況にありましたが、幸いにも社員は就業規則への関心が薄く、誰一人請求してくる人はいませんでした。
しかしながら、今後請求される恐れがあったため、社員間で不公平感があることを理由に、全社員の同意を得て「皆勤手当」「食事手当」を廃止しました。(手当が支払われていた社員には、手当相当額を基本給に上乗せしました。)
上記事例のように、もし就業規則に合わない対応をしている場合は、就業規則に合う対応に改めるか、就業規則の変更をしたほうが望ましいです。合っていない場合は、社員から就業規則通りの労働条件を迫られる恐れがあります。
なお、就業規則の変更を望む場合、「就業規則の不利益変更」となる恐れがあるため、全社員の同意を得る等、適切な手順が必要となります。
当事務所では、「就業規則の不利益変更」「手当の廃止」にも対応しておりますので、疑問点、不明点等ありましたら、お気軽にお問合せください。