慣習も労働条件になります

今回は、労働条件通知書、就業規則に加えて、慣習も労働条件になる、というお話です。
よくある例は、文書化されていないにも関わらず、手当を支払っている場合です。
例えば、年末年始に出勤した社員に対し、労いの意味を込めて手当を支払ったとします。この対応が一時的、臨時的であれば問題がありませんが、長期にわたって継続し制度化していると、たとえ文書化されていないとしても、その制度は労働条件として認められてしまいます。
したがって、会社都合で勝手に止めることはできませんし、止めるには一定の手続きが必要です。
慣習を止める場合の一番確実な方法は、全社員の同意を得ることです。
それが難しい場合は、就業規則等に明記して周知します。といっても、社員はこれからも当然貰えるものとの期待感があり、かつ労働条件の不利益変更となりますので、一定の緩和措置が必要と思われます。
例えば、「年末年始出勤手当は、〇年〇月〇日までに出勤した者に限り支給し、以後廃止する」といった規定が考えられます。
尚、就業規則の不利益変更は、
・労働者の受ける不利益の程度
・労働条件の変更の必要性
・変更後の就業規則の内容の相当性
・労働組合等との交渉の状況
・その他の就業規則の変更に係る事情
に照らして合理的なものであるかを検討する必要がありますので、労使慣習の廃止もこれに準じる対応が必要となると考えます。