建設業の売上が計上されるタイミング

建設業会計は、特殊な会計処理をするため、難しいと感じる人もいるようです。幸いにも私は初めての経理が建設業であったため、何も感じませんでした。
建設業会計から覚えていき、その後社会福祉法人会計、最後に一般的な会社の会計を担当しました。建設業会計は上場企業(伊田テクノス)、社会福祉法人会計は社会福祉協議会(東松山市社会福祉協議会)であったため、より深いレベルでの会計事務を経験させていただきました。
標題の建設業の売上の時期ですが、「工事完成基準」「工事進行基準」があります。「工事完成基準」は、工事の引き渡しの際に売上を計上します。「工事進行基準」は、竣工中であっても、会社の本決算の度に進捗度に応じて売上と費用を合理的に計算して計上しなくてはならないので、手間が大変です。したがって、中小企業では「工事完成基準」を適用している会社がほとんどだと思います。ただし、請負金額が10億円を超えてしまうと「工事進行基準」を適用しなければなりませんのでご注意ください。
上場している建設会社では、売上を計上している時期が適切か、監査法人がチェックします。売上の計上、不計上で、その期の建設工事高(売上高)と利益が大きく変わります。恣意的に、建設工事高(売上高)を多く見せたり、又は利益を減らしたり、という調整ができてしまうため、それを許さない為に、監査法人は売上の計上時期を厳密にチェックします。
当時下っ端だった私は、決算の度に分厚い契約書を何十冊も監査法人がいる部屋に運び込んでいました。工期のチェックは誰でもできる簡単なお仕事ですが、そんな仕事であっても公認会計士(補)の先生が真剣にチェックしていました。監査法人が監査する時期は、毎日12時過ぎまで、また、土日も仕事をしていたので、プライベートはなくなりますが、残業代をがっぽり貰うことができたという、今となっては懐かしい思い出です。