株式会社の取締役は1人にできます

会社法施行前は取締役が3人以上、監査役が1人以上いなければ株式会社は設立できませんでした。 このルールが変更されたのは、平成18年5月1日です。 「会社法」という法律が新たに施行され、1人でも株式会社を設立できるようになりました。
ある日、ある社長が監査役の欠員のことで悩んでいました。
取締役会設置会社では、取締役3名以上と監査役1名以上、計4名以上の役員を選任する必要がありますが、欠員により、監査役のなり手が居ないということで、頭を悩ませていました。
そこで、私は取締役1名のみに減らすことが可能であることを伝えました。
その会社は、非公開会社(株式の譲渡について会社の承認を必要とする株式会社)でした。そして非公開会社は、取締役会を設置せず、取締役1名のみの機関設計(会社)に変えることができます。
かつて、株式会社には取締役会の設置が義務付けられていましたが、平成18の法改正により、取締役会の設置義務がなくなったことは前述のとおりです。
社長は、株式会社は取締役3名以上、監査役1名以上いないといけないと思い込んでいたようで、とても驚いていました。
手続きは以下の通りです。
①株主総会を開催し、「機関変更」に伴う定款を変更する旨の株主総会議事録の作成
②定款の条文の変更(取締役会設置会社、監査役設置会社の条文の削除、取締役の員数を1人以上に変更等)
③上記の2つの書類(株主総会議事録、変更後の定款)を登記申請書に添付し、法務局へ登記申請
簡単な手続きで、一人取締役の会社へ機関変更できますし、オーナー企業であれば、取締役会設置会社であれ、一人取締役の会社であれ、実態は何も変わらないことが多いと思います。
ちなみに会社法では、取締役会設置会社は、取締役会を年に4回以上開催する必要があると定められており、以下項目は取締役会の決定事項としています。
・重要な財産の処分及び譲受け
・多額の借財
・支配人その他の重要な組織の設置、変更及び解任
・支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
・社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定められる事項
・定款の定めに基づく役員及び会計監査人の会社に対する損害賠償責任の免除
もし、上記対応が形骸化している場合、また、業務の執行を牽制する必要がない会社であれば、一人取締役の会社にしても、支障はないと思われます。