優秀な社員の定年を延長したいとき

労働力人口の減少、人手不足で採用が困難な中、60歳での定年退職は貴重な戦力の喪失につながります。定年後も65歳までの定年再雇用で、1年ごとに更新している会社が多いと思います。ただ、それでは社員のモチベーションが下がってしまいますし、更新のタイミングで辞められてしまうかもしれません。特に建設業では専任技術者、主任技術者、監理技術者と、一定の経験者、有資格者の専任、配置を義務付けており、有資格者の離脱は大きな痛手となります。定年を一律65歳に引き上げる方法もありますが、その場合は会社に利益をもたらさない、辞めて欲しい社員まで、抱えることになってしまいます。
その対策として導入を検討したいのが、「定年延長制度」です。
会社が必要と認める社員は、定年を65歳まで延長できる制度です。個別の労働契約で定年を延長することもできますが、会社の制度として導入し、就業規則に定めることをお勧めします。その際は、以下の規定を就業規則に定めます。
第〇条(定年延長制度)
会社が特に必要と認める社員で、次の各号に該当すると会社が判断した場合は、本人の同意を得て、満61歳から65歳の年齢で会社が個別に定めた年齢を定年とする。
①過去の勤務成績が優秀であること
②保有資格や経験等、高度な職業能力を有していること
③後進の指導育成を円滑に行うことができること
2 前項により定年延長の対象となった者は、定年年齢に到達する6か月前までに、次の各号に掲げる定年延長後の労働条件を本人に提示し定年延長を行う。
①定年年齢
②役職、職責、職務内容
③月次給与、賞与
④その他、定年延長後の労働条件に関する事項
この例では延長を65歳までとしていますが、70歳までとしてもかまいません。採用難の中、中小企業での有資格者の採用は困難を極めます。優秀な高齢者を辞めさせないように、前もって制度整備をしていきましょう。
制度の改善によって、会社に新しい価値が生まれます。就業規則の改善をご検討の方は、お気軽に当事務所までお問合せください。