休職制度の必要性について

ある程度の規模の会社は、ほとんどの会社が休職制度を定めていると思います。一方で、中小企業ではどうでしょう?
中小企業でも休職制度を定めるべきでしょうか?休職制度は必ず定めないといけないのでしょうか?
法律に休職制度の定めはありません。したがって、休職制度を定める必要はありません。ただし、休職制度を定めることで、会社のメリットがあります。
例えば、業務外の怪我や病気で仕事ができなくなってしまった社員がいたとします。欠勤が続き、一定期間その状態が続けば、雇用契約の債務不履行となり、一般的には会社は雇用契約の解除(普通解雇)を選択します。
勿論、欠勤が続いても会社の判断で雇用し続けることも可能ですが、ルールが無いと、いつまで雇用を続けるのか、その間の給与や社会保険料の負担はどうするか?など、個別に検討をする必要があります。休職制度を定めてあれば、一律に制度に従うだけであり、また、貴重な戦力を保有し続け、復職して働き続けてもらうことができるかもしれません。
また、欠勤が続いた場合、労務の提供がなされていないので、雇用契約の債務不履行により、雇用契約の解除(普通解雇)が可能となりますが、解雇にあたっては、訴えられる可能性があり、訴えられても負けない対応が必要です。この場合、欠勤後に解雇するよりも、休職期間を挟み、休職期間満了後に解雇したほうが、より雇用契約の解除(普通解雇)が認められやすくなります。
最後に、会社に出勤するものの、傷病等により正常な労務提供がなされない場合です。休職の規定が無いと、労務提供が不十分であっても、その労務の提供を受け入れ続け、正常な賃金を支払い続けることにもなりかねません。休職規定があれば、その規定に従い休職を命じることが可能となります。
このように、中小企業であっても、休職制度を導入するメリットがあります。
なお、導入にあたっては以下のような規定を就業規則に加えてください。
第〇条(休職の発令事由)
社員が次の各号のいずれかに該当する場合は休職を命ずる。ただし試用期間中の者については原則として適用しない。
①傷病休職 業務外の傷病による欠勤が3か月以内で通算14労働日以上にわたり、その傷病が治癒しないとき
②その他 会社が休職させることを適当と認めたとき
2 前項第1号の欠勤には、当該傷病の療養を理由とする年次有給休暇も含まれるものとする。
3 第1項第1号の傷病休職は、社員が精神又は身体上の疾患により所定労働時間の全部又は一部について正常な勤務ができない場合などで、その労務提供が不完全な状態であると会社が判断した時は、第1項第1号の休職発令要件を満たさなくても休職を命じることができる。
4 第1項1号の休職事由による当該傷病が休職期間中の療養により治癒する蓋然性が低いと認められる場合、その他会社が休職制度を適用することを不適当と認めた場合は、会社の裁量により休職期間を短縮し、又は休職することなく普通解雇とする。
就業規程の改善は、会社の価値の向上につながります。就業規則の見直しをご検討の方は、お気軽に当事務所までお問合せください。