遅刻をした場合の残業代の計算 勤怠状況も査定に加味したほうが良い?

遅刻をした場合の残業代の計算は面倒くさいです。なぜならば、遅刻をしたことで、割増賃金の計算方法が変わってしまうからです。
割増賃金は、1日の労働が8時間を超えた場合に発生します。従って、スタートが遅れれば、遅れた分だけ後ろにスライドします。
例えば、1日の所定労働時間が8時間の会社で、1時間遅刻をした人がいた場合、1時間後ろにずれるので、最初の1時間は割増賃金が発生しません。1時間を超えた部分から割増賃金が発生します。
最初の1時間の賃金は、通常の賃金が支払われるため、1時間残業すれば、遅刻控除が相殺され、通常の賃金が支払われます。
遅刻をしても、その分残業すれば、欠勤控除が相殺され、金銭的なデメリットが無くなることは、少し違和感を覚えるかもしれません。そこで、遅刻のペナルティを金銭に反映させる場合は、遅刻早退を加味して賞与額や昇給の査定をする方法が考えられます。
その場合、勤怠状況(遅刻早退回数、残業時間、休日出勤日数、有給休暇取得日数)の一覧表を査定前に準備します。
※労働基準法136条で有給休暇取得者に対して「不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と定められておりますが、判例より、努力義務であるという見解が出されています。
中小企業では、仕事の成果を重視し、モラル面(例えば勤務時間中にフラフラ出歩いてしまいなかなか席に戻ってこない、昼休みからなかなか戻ってこない、遅刻早退を繰り返す)に寛容な会社もあると思います。その状況を放置することで社員にとって居心地が良い環境となる=社員が定着する、という効果もあると思います。同じ規模、同じ質で事業を続けるのであれば、さほど支障はないかもしれませんが、企業としての成長を目指す場合はどうでしょうか?
仮に一般的な企業に勤務していた方を中途採用した場合、なかなか電話に出ようとしない、フラフラ出歩いてなかなか席に戻ってこない状況があった場合、どう感じるでしょうか?そのまま身をゆだねるでしょうか?職場のモラルを改善しようとするでしょうか?もしかしたら、自分にふさわしい居場所ではないと、早々と逃げ出す準備をする人もいるかもしれません。
途中から、勤怠状況も査定に加味した方が良いという話に変わってしまいました。本題に戻ります。割増賃金は1日の労働が8時間を超えた場合に発生する、というお話でした。