有給休暇取得状況は査定に反映させても良いのか?

成果や勤務態度を査定する会社が多いと思いますが、勤怠状況を査定に反映させる会社もあります。
例えば、以下項目の一覧表を作成し、査定に反映させる方法です。
遅刻早退回数
残業時間
休日出勤日数
有給休暇取得日数
ここでは、有給休暇取得日数が含まれますが、果たして有給休暇取得日数を査定に反映させて良いのでしょうか?
厚生労働省のQ&Aでは以下の回答がなされています。
質問
私の会社では有給休暇を取得すると賞与の査定にあたってマイナスに評価されてしまいます。会社は有休を取得しなかっただけ多く働いたのだから当然と言っていますが、これは法律上問題ないのでしょうか。
回答
労働基準法に定められた年次有給休暇の取得に対する不利益取扱いの禁止について、労働基準法附則第136条は、使用者は年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないということを規定しています。年次有給休暇の取得を賞与査定のマイナス要素として扱うことはこの規定に抵触することになりますので許されません。
行政はNOとの回答がなされていますが、裁判所では、有給休暇取得の不利益取扱いの禁止は努力義務である、との判例が出ています。
会社の立場から見ると、有給休暇の取得が少ない人を査定で優遇するのは合理的な判断です。例えば、有給を全て消化している本部社員と、仕事が忙しすぎて、取得が義務化されている年5日の有給休暇すら取得が困難な人のどちらが会社に貢献していると言えるでしょうか?もしかしたら本部社員のほうが貢献しているケースもあるかもしれません。ただ、負荷が重く、より苦労をしている社員に報いてあげたいと考える人もいるのではないでしょうか?
法律は何故有給休暇取得の不利益取扱いを禁止しているのでしょうか?
それは不利益取扱いをしてしまうと、有給休暇が取得しづらくなってしまう。それではこの法律(有給休暇)の意味が薄れてしまうからです。
この辺りは悩ましい限りですが、有給休暇取得が少ない人を有利に扱うことは禁止されていません。また、裁判所では、有給休暇取得の不利益取扱いは努力義務であるとの判例がでています。
一方で、有利にする取扱いは、相対的に有給休暇の取得が多い人が不利になってしまうということに繋がるため、行政が認めることは難しいと思います。賛否両論あるかと思いますが、非常に悩ましいテーマです。