時間外労働が月60時間を超えた場合の割増賃金の計算方法

2023年4月1日より、中小企業においても月60時間を超える「時間外労働」の割増賃金率が50%に引き上げられました。
皆様におかれましては既に対応済みなことと思います。
この割増賃金の計算方法について、正確な理解がなされていない顧問先がありましたので、この場を借りて改めてご説明差し上げます。
まずは基本を押さえます。
割増賃金の発生理由には、大きく「時間外労働」と「法定休日労働」に分けることができます。それぞれの割増率は25%と35%です。
時間外労働 25%
法定休日労働 35%
そして、今回60時間を超える「時間外労働」の割増賃金率が50%に引き上げられました。ここでのポイントは、「法定休日労働」は関係ないということです。
法定休日とは何を指すのでしょう?法定休日とは、労働基準法で定められた休日です。労働者に必ず与えなければならない休日であり、原則週に1回与える必要があります。例えば、土日が休みの会社で、就業規則に日曜日を法定休日とする定めがあれば、日曜日が法定休日となります。
※定めがない場合は、日曜日から土曜日の間で一番遅い休日が法定休日となります
したがって、先の例で日曜日に休日出勤した場合は、法定休日労働として、35%の割増賃金が発生します。では土曜日に休日出勤した場合はどうでしょうか?土曜日は法定休日ではありませんので、時間外労働として、25%の割増賃金が発生します。
法定休日労働は、法定休日に労働した場合のみであり、先の例では、土曜日休日出勤は、平日の時間外労働と同じ扱いになるということです。
ここまで、割増賃金の発生理由には、「時間外労働」と「法定休日労働」があることを説明いたしました。
本題に戻ります。このたび月60時間を超える「時間外労働」の割増賃金が50%に引き上げられました。「時間外労働」限定で月60時間を超えた分について、割増賃金が50%に引き上げられました。したがって、「法定休日労働」は関係ありません。つまり、平日の時間外労働と法定休日以外の休日労働時間が月60時間を超えた場合に50%の割増賃金が発生します。
平日の時間外労働限定で月60時間だと解釈している方、法定休日労働を含めて月60時間だと解釈している方がいらっしゃいましたので、この場で改めて説明をさせていただきました。